散歩ミーティングのススメ
2021.12.19

前回、「聞かない聞き上手」というテーマで熱心に聞かないことが聞き上手になることもある、と書きました。
今回、その応用編として、社外の方との普通のミーティングを散歩しながらやってみたところとても良かったので、そのご紹介です。
散歩ミーティングとは

すごく単純です。普通にオフィスの会議室で行う打ち合わせを、歩きながら行う。以上。
3人以上だと十分な道路の幅がないと難しいかもしれませんので、2人での打ち合わせが最適だと思われます。また、資料を見ながらの打ち合わせには向いていないので、大枠の情報共有や意思決定に関することや、アイディア出しなどの打ち合わせに向いています。
ただただ、歩きながら話をします。1時間のミーティングであれば1時間で元の場所に戻ってくる必要があるので、ある程度あたりを付けて歩く必要はありますが、30分立ったところで引き返せばよいので、時間に戻ってこれず困るということはまずないかと思います。
何が良いのか
やってみたところ、地味ですが普通のミーティングや、カフェでの打ち合わせでもなかなかできないであろうよい気付きが多くありました。
・リラックスでき、楽しく会話できる
・しゃべりやすい、アイディアが出やすい
・内容が記憶に残る
リラックスでき、楽しく会話できる

もちろん、雨の日や暑い日にはやらない方がいいと思います。寒い日でも風さえなければ、しっかり防寒すれば意外と平気なので、今の時期は悪くないと言えるでしょう。不快にならない状況であれば、外を歩くのは基本的に楽しく、気持ちと体がほぐれるのがわかります。人間、心地よい状態で話すと一緒にいる人に対しても心地よい気持ちになれます。少なくともオフィスで話すよりも親密な空気ができ、心地よく話ができます。
今回やったミーティングは、少し商店街っぽいところを歩いたので、途中で唐揚げを買って食べながら歩いたりしました。ぶらり途中下車の旅のような雰囲気も出て、リラックスできます。とはいえ、オフィス街でも十分に楽しいのではないでしょうか。
しゃべりやすい、アイディアが出やすい

前回「聞かない聞き上手」で書いた通りですが、正面から見つめられていない分、しゃべりやすさがあります。気張らずに本音でしゃべっても問題がない。こちらも歩きながらという状況がある分、いつもより相槌や繰り返しが少なくても不自然でない分、内容に集中して話を聞けるという側面もありました。結果、お互いが素直に話をできるようになり、かつ反応も自然にできるという利点がありました。
歩きながらなので、発言の失敗が許される感覚がありました。変なことを言っても、歩いているので流れてしまってもよい。そう思えるので、結果として思ったことをそのまましゃべることができ、いいアイディアがいくつか出ました。「それいいですね」という返し方もいつもよりしやすいので、話が円滑に進みます。実際になんでも前向きに進めるというより、Yes, and・・・で話がしやすくなるイメージです。
内容が記憶に残る

メモを取ったりは基本的に難しいか、ごく端的にスマホなどに取っておくことになるので最初は不安ですが、通常のミーティングより会話の内容が頭に残っています。論点を書き出す程度であれば、机に戻ってからで十分できました。
人間の脳は、何かを覚える際に、周辺情報がたくさんあった方が覚えやすいと言います。言葉の内容だけを覚えるよりも、一緒に歩いている道路の状況、日の当たる感覚、風、音、そうしたものと一緒に覚え、思いだすことで記憶が定着しやすいということ。散歩は景色が移り変わるので、内容を覚えるにはオフィスよりも適していると思いました。
まとめ

そんなわけで、非常にお気軽にできる散歩ミーティングですが、大変満足感があります。そして2人の間に特別なイベントをした感覚が芽生えるので、それも含めてとてもよい時間となりました。社外の方とやってもよいし、社内であればより気軽にできてよいのでは、と思います。1時間歩くのはちょうどいい運動にもなりますし、相手が許せば1日1回くらいできるとよいなあと妄想しています。
そんなわけで、ちょっとした嬉しいミーティング手法を見つけたので、ご紹介させていただきました。
株式会社こころみ 代表取締役 神山晃男
