「課題先進国ニッポン」の意味

2014.01.08

皆様 少々遅くなってしまいましたがあけましておめでとうございます。

こころみは創業以来初のお正月を迎えました。
近々の正式サービス開始を予定しております。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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さて、新年のWall Street Journalの記事で、こんなものがありました。(英文)

Japan’s Aging Reflects Asia’s Future
(「日本の高齢化はアジアの未来を先取りしている」
簡単な記事で、内容は以下です。
・日本は今後超高齢社会が深刻化。高齢化率は40%になり、人口は減少し続ける
・日本だけでなく、韓国・中国を始めとするアジア諸国も、これから日本と同様の状況となる
・日本は2007年に死亡者数が出生数を上回ったが、東アジア全体では2030年から2035年の間に同様の状況になると予想される
 
事実関係に新しい発見はありません。
が、海外から見ても、
今後も日本が東アジアにおける未来像と認識されていることを改めて感じました。
 
 
元東大総長の小宮山宏氏は、これを「課題先進国ニッポン」と称しています。
更に、「これを日本が再生・成長するためのチャンスと捉え、他に先駆けて「課題解決」することで、新たな需要、新たな経済活動を創造していくべき」と提言されています。
 
私はこの考え方に共感します。
超高齢社会をただ暗い未来と見るのではない。むしろ世界で最もチャンスに恵まれた状況と捉える。
そうでなくては日本で生きることが決して楽しくならないでしょう。
 
一方で、需要、経済活動の創造においては、「課題解決」の経験を商品化して海外輸出を行うことが必要条件になると考えています。
それが輸出製造業に変わる商品として、今後の日本の外貨獲得手段とならなければならない。
でなければ、資源がなく生産年齢人口が減少する日本は貧しくなる一方です。
つまり超高齢社会の課題を解決するだけではなく、それをパッケージ化・商品化して海外に販売しなければならない。
 
この「課題解決」商品というのは、製品ではなくソフトやサービスが主体です。
もちろん医療機器や介護ロボットもありますが、それらを統合するシステムが差別化の源泉になるはずです。
なにより「課題先進国」として最大の価値を持つのは、社会実験の結果創造できるソリューションだからです。

例えば

・望ましい労働形態の構築(65歳以上も働ける環境)
・終末まで見据えた住居の適切な流通や整備の仕組み
・医療/介護/民間サービスの連携
・家族間コミュニケーションや気持ちの問題などの定量化しにくい課題解決・・・

 

これらソリューションは、製品だけではカバーしえません。
これは日本にとって初めての挑戦になります。
過去日本で成功したのは製造業の海外展開のみでした。
自動車、電機はもちろん、味の素などの食品産業も製造業ですし、ユニクロも製造小売だから成功していると言えるでしょう。
製造業以外では一部の百貨店、外食チェーンで成功しているところが例外。
ほかは物流がこれから本腰を入れつつあるところ、Web/ITの世界ではLINEのみ。その程度ではないでしょうか。

 

 
日本は、超高齢社会の課題を解決すると同時に、明治維新以降の「モノ」を輸出する貿易国家から、新たな「コト」を輸出する貿易国家に脱皮しなければならないのです。
現在ソフト/サービスをビジネスとして海外に展開することに成功しているのは、世界でアメリカしかないでしょう。
 
日本にこれができるのか。
 
 
 
いよいよ面白い時代が来た。そう捉えたい。
 
こころみの提供するコミュニケーション・サービスに関するニーズも、日本独自の問題ではない。
アジア各国、世界中で都市化の定着に伴って生じつつあると認識しています。
将来的にはこころみもサービス輸出産業として海外展開を図ります。
 
 
 
 
以上、大風呂敷で恐縮ですが、新年ということで大きな夢を語らせていただきました。
 
まずはお一人お一人のお客様のニーズに応えられるよう、着実にサービスを提供してまいりたいと存じます。
改めて、本年もよろしくお願い申し上げます。