子供が親の世話をしない社会を目指せ
2013.09.27
昨夏の参議院選挙の際に、某政党から依頼を受けて日本を良くするためのアイディアとして、提言を作成致しました。
その提言内容を転載いたします。
具体的なアイディア自体は「他人の親の世話を強制する仕組みづくり」という大変過激なものですが、
背景にある「親子であるからこそ出来ない事や苦痛な事が、介護や世話にはつきものだ」ということを、これからも訴えていきたいと思います。
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◆提言
日本が迎える超高齢社会においては、「子供が親の面倒を見る」という常識を改めるべき。子供は親の精神面での寄り添いに注力し、物理的介護や専門領域はプロに任せ社会全体の負荷を軽減する。まずは他人に親の世話をしてもらうことの有用性を知るため、他人の親の世話をする奉仕活動を制度化してはどうか。
◆本文
日本の超高齢社会の特徴は、高齢者比率の上昇だけでなく定年退職後の余命の伸びと都市化の進展による独居・高齢世帯の増加にある。つまり、一人あたり高齢者の増加に加え、支える時間の長期化と対象の別居状態により、家族による世話の負荷は質的に飛躍的に増大すると考えられる。
ところが日本では家族が親の世話をすることが常識である。昔は子供が働き盛りのうちに数年で親が亡くなり、同居していたため世話も可能だった。今後は個人が世話できる範囲を超えるだろう。そもそも自分の家族が老い、認知症になっていく姿を直視しながらの世話は大変な精神的苦痛であり、また専門性が求められ、高齢者の世話は家族以外の他人が行うことが本来望ましい。
家族は、家族にしかできない精神面での支援に注力をすべきである。
例えば株式会社こころみでは、独居高齢者の方のお話相手になり、健康・精神状態を把握、ご家族と共有する見守りサービスを開発している。実際に親子間ではできなかった相談や愚痴が言えるようになり、結果として親子の会話が活発化したという声が利用者から聞かれる。
家族以外が高齢者の世話をすることの抵抗感を減らし価値を実感するため、国民に対して、高齢者への奉仕活動を制度として設け、他人の世話をする/される体験の場を設けることを提言したい。ボランティアではなく、税務面での優遇措置を設けるなどしてあまねく国民が参加することが望ましい。結果として他人に世話をされることが常識となり、また地域社会でのケアが今よりも一般化される効果が期待できるのではないか。