独居老人スタイル
2014.01.24
本のご紹介です。
都筑響一の「独居老人スタイル」。
一人暮らし高齢者のご自宅を訪問し、暮らしぶりを伺うという本です。が、対象がちょっと違う。
16人の「老人(と言っても下は60そこそこから上は90以上まで多岐にわたります)」なのですが、
・画家
・ハプニングアーティスト
・個人映画館オーナー(営業しないで掃除だけしている)
・スナック・ママ
・道化師
・流し
・・・
といった、いわゆる「普通」ではない方たちの「普通」ではない暮らしぶりと今までの生き方を丁寧に聞いて書き起こしています。
写真も豊富なので生活のにおいがありありと伝わってきます。
毎週決まった時間にお客さんが来ても来なくても自宅の庭で「アート活動」を行う・・・
ひたすら絵を書いているが、ほとんど人に見せることもない・・・
鳥取でラスタファッションのカリスマとして若い子に毎日囲まれている・・・
最初は、こころみの企業活動の参考事例になるかな?と思って読んでいたのですが、
この方たちは、いわゆる標準ユーザー事例にはなりません。
しかし、この本を読む意味がないかというと、逆です。
むしろ一人暮らしや加齢といったテーマを超えて、どう生きるべきなのか?について重要なヒントをもらえました。
共通するのは、「自分の生き方はこれしかない。これでいい」と確信を持っていることです。
周りから見れば貧しくても、変人でも、退屈でも、関係ない。
自分がやろうと思っていることにひたすら没頭している。それが、周りから見ると魅力的。
この方たちは、おそらく自分が老後を迎えているという意識がないと思います。
ただ自分がやるべきと信じていることをやり続け、それで気がついたら長い年月がたっているだけ。
でも年月がたったからといって、やるべきことは変わらない。
確立された自分というものがあれば、友達の有無や貧しさやなんやかやを超えて、いい人生だと言い切れるのではないか。
そんなことを学ばせていただきました。
「老後、一人になったらどう生きるか」ではなく、「すべての人は今をどう生きるべきか」の成功事例集として読むべきと感じました。
何よりエピソードが面白すぎるので、買って損はありません。