GOSという不治の病
2013.04.23
GOSの特徴は以下の通り。
- 男女ともに発症。発症率には差異はない。
- 症状の進行には個人差が大きいが、致死率は100%。
- 発症する時期は20代前半から後半にかけてで90%以上。
- 発症者は特有の遺伝子を持つことが確認されている
主な症状は以下の通り。
- 筋肉量の低下とそれに伴う運動能力の低下。骨折の増加。
- 免疫機能の低下。それに伴う各種感染症の発症。脳出血リスクの増大。
- 癌の発症率の急激な上昇
- 脳重量の低下。大脳萎縮。特に記憶障害。時に抑うつ・幻覚症状など
- 視力の低下。視野狭窄
ちなみに発症してから死に至るまでの期間はおおよそ50-80年程度、人類における罹患率は100%。
病気の正式名称はGOS(Getting Older Syndrome)、要するに加齢です。GOSは今私が作った造語です。
・・・すみません。変な書き出しで始めてしまいましたが、
ここで「加齢は恐ろしい」と言いたかったわけではありません。
加齢はあくまでこれら症状の集合体であって、個別事象は誰にでもいつでも起こること。
「年をとる」ことは、老人という別の生き物や人格に変わることではないと言いたかったのです。
世の中は「お年寄りになる」ことを「お年寄りという別人になる」ように扱っているようです。
例えば、大人相手に敬語でも、おじいちゃん相手には突然タメ口になったりします。
たまには好きな塩辛いものを食べたいという欲求に対して、健康のため制限をかけたりします。
服装に対するこだわりなどないとして、地味なものを着て当然と考えます。
だけど、それが例えば壮健な男性で、交通事故で全身打撲の状況だったとしたらどうでしょう?
病院に入院した瞬間、突然タメ口になったら。
塩辛いものを、健康に悪くてもいいから食べたいと思っても、捨てられたら。
入院して以降、家族が誕生日にくれる服がすべて茶色になったら。
高齢者向けの各種サービスを否定しているわけではありません。
タメ口で簡潔にしゃべらないと伝わらない方はいらっしゃいます。
当然目が悪い人には見やすいようにすべきだし、
段差はなくしたほうがいいに決まっています。
認知症によって判断力や自律する力を失った場合には、
時には周りが行動を制限することが当然に求められます。
ただし、それでも大前提として自分と同じ感情を持った人間のためのサービスという自覚が必要ではないか。
サービス提供の現場よりも、世間一般に、この認識が欠けているのではないかと感じます。
思えば、学生時代には、30代の会社員とは遠い存在で、
自分も30代になれば今までと全く違う考え方を持つようになる、と想像していました。
実際なってみればこんなものかで、体力は落ちていますが中身が変わったという自覚はほぼありません。
それはきっと60歳でも80歳でも100歳でも変わらないのでしょう。
高齢者を、高齢者ではなく、ある人、その人が長い人生の結果足が悪くなったり目が悪くなったり、
記憶するのに時間がかかるようになっているだけ。
そんな風に認識するように、心がけて行きたいと考えています。
相手を「おじいちゃん、おばあちゃん」ではなく名前とさんづけで呼ぶ。
過去の培ってきた経験に敬意を払い、その経験に裏打ちされた判断を尊重する。
お年寄りだから席を譲るのではなく、足が悪かったり、疲れやすい、転んで怪我をしやすい人だから席を譲る。
当たり前のことですが、こころみのサービスはそんな当たり前のことを守れるサービスにしたいと考えています。