ピンピンコロリ

2014.02.12

ピンピンコロリについてご存知でしょうか? 決して殺虫剤の名前ではありません。

私の故郷長野県発祥の、理想的な加齢の仕方についての標語です。

生きている間はピンピンしていて(つまり、起きて歩いて活動を活発にして)、ある日突然コロリと逝く。
寝たきりや介護を受ける期間を短くして、本人も周りも楽しく過ごせる時間を多くする。
そんな考え方です。

PPK運動としてそんな考え方の啓蒙活動がされています。

なによりも長野県が長寿日本一の県であり、それに加えて、
・1人あたり高齢者医療費が最も低い(数年前までで今は残念ながら首位は転落した様子)
ということがあり、だから元気で長生きだし、元気でいれば長生きできる、ということが謳われています。

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また、関連して
・一人あたり公民館が最も多い
・保健師の数が多い
という背景もあるとのことです。

つまり
「特に仕事や公民館での生涯学習に参加し、生きがいややり甲斐を感じる。
そのためにコミュニティに参加し、多くの人とコミュニケーションをとり続ける。
そんな暮らしを続けていれば、いつまでも健康でいられ、病院のお世話にもならずに天寿を全うできる」
そんな考え方ですし、長野県ではそれが実践できている、というわけです。

長野県に住めば長生きできるわけではありませんが、
いわゆる「長野県的生き方」が健康によく、長生きに繋がること、特に元気でいられる時間が長くなるというのはうなずけます。
私が田舎で見る高齢者の方は、自分の親も含めよく働くし、元気だなあと実感します。

大げさな話、日本全体が長野県のようになれば、高齢者の健康寿命を伸ばしながら、医療費の増加を抑えることが可能になる。
ピンピンコロリ、ご存知なかった方にはぜひ参考にしていただきたいと思います。

一方で、私はピンピンコロリ運動を積極的に進めていくだけでは、片手落ちになるのではないかとも考えています。

それは、世の中が「高齢者はとにかく元気に、周りに迷惑をかけない存在になるべき」という風潮になったら、と心配しているからです。

もちろん死ぬ直前まで活発に生きていることが望ましいし、私自身、胃ろう等による延命にどこまで意味があるのか、疑問に感じるところもあります。

ただし、それにもまして大事なのは「個別の人が生きたいように生きられる世の中であるべき」ということです。

寝たきりや認知症になることで周りに肩身の狭い思いをする。
あるいは今よりも、「認知症になったら家族に迷惑をかけてしまう」といった恐怖感が大きくなる。
自分としては少しでも長生きして、孫の成長を半年でも数ヶ月でも見たいと思っているのに、それが言い出せない空気になってしまう。

そんな世の中にしたいとは思いません。

健康で長生きできれば素晴らしい。そうでなくても、そもそも生きていることが素晴らしい。

そのうえで、どうやって前向きに暮らしていけるか。

こころみは、そんな暮らしのお手伝いをしたいと考えています。