キュアとケア

2013.12.27

先日、看護師の方に現在のガン治療のあり方について教えていただく機会がありました。

midori

今までは「治療」と「終末医療」に分かれ、基本的に完治を目指してあらゆる手段を尽くし、最後に治療を諦めるという流れだったガンの治療。
最近では「キュア」と「ケア」という考え方の整理をする。
ある瞬間から突然方針を切り替えるのではなく、状況に合わせて徐々にケアを重視して終末を迎えるという考え方に変わってきているというお話でした。

キュアとは、「治す」。病気や怪我を治すための医学的処置で、原因となる病気をなくすこと。その後医療を受ける必要をなくすことです。
ケアとは、「癒やす」。「治療を目指すこと以外の医療の側面にも心遣いしましょう」という概念。痛みの軽減や悩みを共有して、生きる時間の質を高めるための活動です。

特に末期ガンの場合は「キュア」を目指して抗癌剤や放射線療法などを行っても、辛い思いをするだけで実際に完治の可能性が低い場合もある。
その場合はケアを重視し、患者さんに残された時間を有効に快適に使ってもらえるように配慮をしていく。そんな風に医療の現場が変わってきているというお話でした。

ガン治療の現場のお話も非常に勉強になりましたが、このキュアとケアというコンセプトを、”キュア=問題解決”、”ケア=問題に付随する状況の改善”と見立てると、一般の社会でも広く使えるのではないかと思いました。

つまり

①キュアはある問題に対する解決そのものを目指すこと

②ケアはその問題から派生する悪い状況を改善すること

と分けて見るとどうでしょうか。

例えば先日の傾聴について言うと、相談を受けて解決案を提示して役にたった気になっていたが、実はその人は解決策という「キュア」を求めていたのではなく、自分の気持ちを分かってほしい、共感してほしいという「ケア」を求めていたのではないか。

そう考えると世の中のサービスや商品も、キュアとケアに分けることができそうです。

<例1 電子機器や自動車>  その目的を達成できるか(スペック)だけでなく、使うときの使い心地やデザインなどケアの要素で人気が大きく左右される。

<例2 iPhoneの人気>    ケアの要素をとことん突き詰めた使用する際の心地よさによるところが大きいのでは。
<例3 塾の講師や先生など> 生徒の点数を上げる為の適切な授業をすることが大前提だが、それだけでなく学習意欲を高めるための生徒の心のケアも求められる。そういう意識のある塾や先生は、人気も高い。

<例4 プロ仕様の工具や自動化ラインのロボットなど> キュアを再優先した設計になっているし、そうあるべき。

それぞれのサービスや商品にとってのキュアとケアのバランス、重視すべき点を整理することで、よりよいものにしていくことができるのではないか、そう感じました。

 

弊社でも、ケアをこのようにとらえて、サービスでのお話を聴く姿勢はもちろんケアを最重視しながら、それ以外のサービス周辺についても“ケアをどのように提供できるか”を常に考えていきたいと思います。

 

さて、本日仕事納めの方も多いでしょうか。皆様今年はどんな1年でしたでしょうか?
弊社はなんといっても6月に設立、ようやくここまで参りましたので後半はあっと言う間でした。来年は早々に本格サービス開始を目指してまいります。
皆様良いお年をお迎えください。来年もどうぞよろしくお願い致します。