年間死亡者数と死に場所

2013.10.31

「年間死亡者数」。この日本で、年間何人の方がなくなっているでしょうか。

 

 

 

答えは、125万人です。さて、この数は多いのでしょうか、少ないのでしょうか。

 

 

多いです。戦後すぐは120万人近い方がなくなっていましたが、その後死亡数はかなり減少し、昭和41年には死亡者数67万人となっていました。
厚生労働省の平成24年人口動態統計より)

グラフを見ると一目瞭然です。

年間死亡者数グラフ

 

 

 

さらに今後も死亡者数は増え続け、2030年には160万人がなくなると予想されています。
日本列島の上で、史上最も多くの人が亡くなる時代がこれから続きます。

さて。逆の見方をすれば、戦後まもなくも今と同じくらいの水準で人がなくなっていたわけですが、大きく異なる点があります。

それは、死ぬ年齢と、死ぬ場所です。

死ぬ年齢。

 

年齢別死亡者数推移

死亡者数_年齢別

 

(こちらは平成23年人口動態統計より)

 

 

戦後まもなくは、死亡者のうち1/3位は14歳以下が占め、残りもほとんどが64歳以下だったことが分かります。
今は、14歳以下の死亡者はほとんどおらず、75歳以上の死亡者が2/3を占めています。

天寿を全うできるようになった、素晴らしい社会の進歩だと言えるでしょう。

 

で、それもあって死ぬ場所は大きく変わりました。

死亡の場所別にみた構成割合

死亡場所

(厚生労働省 人口動態統計年報 主要統計表 第5表 死亡の場所別にみた死亡数・構成割合の年次推移より 筆者作成)

かつてはほとんどの方が家でなくなっていました。若い方が急に亡くなることが多かったことの裏返しでもあるでしょうし、
家で最後まで面倒を見るのが当然視されていた時代でもあります。

いまはどうか。老人ホームや施設で亡くなる方はまだまだ少数派で、大部分は病院です。
そして、これからこの死亡者数はどんどん増加していくわけですが、残念ながら病院の数が増えていくことは今後の日本においてはありえません。

つまり、無為に過ごしていると、死に場所がないことになってしまいます。最近言われ始めていることではありますが、こうして数で見るとその深刻度合いが良く分かります。

自宅で死ねるようにする、つまり自宅療養なり看取りを前提とした介護・看護が受けられる体制を作っておくか、
あるいは最後まで面倒を見てくれる施設に入所するよう手配をすることが求められます。それも、個々人が、元気なうちに自分で手配をしなければなりません。

もちろん一部の意識の高い方はそうした準備も可能でしょうが、大多数の方には前もって自分が死ぬことを準備するというのはなかなかできないのではないでしょうか。

日本人は、幸せに人生を終えるために、最後に高いハードルを設定されているようです。

 

また、この問題の難しさ、つまり死に場所を選ぶことの難しさの背景には、日本人特有の死生観が影響しているのではいかと考えています。

つまり、外国の方が「よい死に方」を自分で選べているのではないかという話です。

少々長くなってしまいましたので、続きは次回に。