世代間格差ってなんだろう?

2014.06.05

厚生労働省が公的年金の財政状況の見通しを発表しました。inu

いままでも各種メディアや大学教授が公的年金の制度が立ち行かなくなるという主張をしていましたが、厚生労働省からもようやく正式な見通しが発表されたものです。

ここでは「順調にいった場合に」現役世代の平均収入の50%以上の給付水準をかろうじて維持できるとしていますが、ここでいう順調とは経済成長率4%維持という前提なので、無理なことは明白です。

少なくとも現役世代が、自分が払った以上の年金を受け取れることはないでしょう。
ただ、こうした点が改めて明らかになったことは、今後の年金制度を国民が考えるために非常に重要で健全な前進ではないかと思います。

ところで、こうした状況を背景に、世代間格差が問題であるという議論がなされています。
団塊の世代は「逃げ切り」であると言われたりもしています。
私も同様の考えを持っていたのですが、最近改めて考えて、いやおかしいぞと思い始めました。

(議論を簡単にするために、平均寿命の伸びや支給開始年齢の変化などは考えないようにします。議論の大枠には影響ありません。)

今の現役世代が支払っているお金は、自分より上の世代の老後をささえるために使われています。
そして、今の現役世代が引退した後で受け取るお金は、自分より下の世代が自分たちをささえるために支払ってくれるものです。

つまり、現役世代にとって、支払った金額よりも受け取る金額が大幅に少ないということが何を意味しているかというと、
自分たちより上の世代よりも下の世代が少ないよ、ということに他なりません。
これは何を意味しているのでしょうか?

ごく簡単に言って、自分たちの親が産んだ子どもの数(自分たち)が少ないことと、自分たちが産んだこどもの数が少ないこと、この2つによって生じています。

これが何を意味するか。
子どもとしての自分は、多くの親に育てられるかたちで手厚い育児を受けてきた。
一方で親としての自分は、少ない子どもしか育てていない=低い育児負担しかしていない。
ということです。

結果として年金の受給額が下がるとしても、それだけを見て不公平と言うことが、正しいことなのでしょうか?

また親の数は選べないとしても、子どもの数は世代が選択する問題です。
であればこそ、日本において子どもを多く生むことが難しい現状を、少しでも打破することが問題解決のためのいとぐちになるのではないでしょうか。
子育て支援、保育園の充実、母親の就業支援、そうした対策を国がとるように、現役世代は働きかけていくべきですし、
それをせずに年金の不公平に対する不満を表明しても片手落ちです。

年金受給の問題は「少子高齢化」が原因であると言われます。
しかし「高齢化」を問題視しても何も解決しません。
「少子化」を問題視すべきと、繰り返し申し上げたいと思います。