コメダで学んだこと その3 新しいものがストレスになる
2014.03.07
前回、前々回のブログで、コメダ取締役時代に学んだ3つのこと その1「コミュニケーションができる場の提供」、 その2「「お年寄り向き」のサービスや商品を作るべきではない」を書かせていただきました。
本日はその3。 「新しいものがストレスになる」です。
コメダは、新商品がほとんど出ません。
日替わりメニューもありませんし、季節限定メニューも一部のケーキを除いて、ありません。
そもそも商品開発部という部署がありません(品質保証はちゃんと担当部署があるのでその点ご安心ください)。
これは、外食の常識からすると考えられないことです。
外食チェーンを見て下さい。どこも常に新しい商品、売れる商品を作ろうとしています。
また、たいていが四半期に一回ずつ季節限定商品を出して、目新しい物を食べてもらうべく宣伝をします。
広告も、お店のメニューもPOPも、それに合わせて毎回変わります。
そうしないと、商品に飽きられてしまい昨年対比の売上高がマイナスになってしまう。
そう考えてどこも新商品活動に多くの努力をさきます。
なぜコメダはそれをしないのか。
その労力をお店の品質向上に振り分けていることが理由の第一です。
新商品の導入には、本部だけでなくお店に大きな負担がかかります。
新しい商品の作り方、仕入れ方、POP、メニューの改変。お客様への説明。
コストも時間もかかります。その上、失敗したらそのまま売上減少につながる。
その時間を、お店の清掃や他の料理の品質向上、お客様に対する接客の向上に徹する。
それにより高いサービスレベルを維持する。
そんな哲学が、コメダにはあります。
もう一つ。
新しい商品は目新しいため、それで来るお客様も確かにいらっしゃいますが、
人間は必ず、新しいものによってストレスを受けます。
コメダはあくまで自宅のようにくつろいでいただくところです。
コーヒーも、くつろぎの邪魔にならない香りと味になっています。
あたらしい商品の紹介も、あたらしい味も、うるさい刺激としてストレスになる可能性がある。
極力そんなものを排除して、邪魔にならない範囲で最低限、少しずつ楽しみになるものを提供する。
コメダでは、そんな哲学で商品が作られています。
定番メニューも内装も同じです。
味は万人が美味しいと感じる、奇をてらわないもの。(シロノワールは別です)
内装もだれもが安心感を持つ木の内装。(とはいいながら、北欧趣味に走るなどはしない)
そんな、ストレスを最小化する工夫の積み重ねの結果で、コメダは出来ています。
それが、結果としてご高齢者の方にも満足いただける店作りにつながっています。
新しいものはストレスになる。この考え方をこころみのサービスにおいても常に意識しています。
個人向けサービスですので、その方に合わせてベストな会話を目指しています。
基本的になるべくストレスにならないお話の伺い方を心がけ、あくまでリラックスできる「茶飲み友達」でいる。
その上で、前向きな気持ちや楽しい気持ちになれる話題を少しずつ振っていく。
そんな話し方を具体的な方法・技術に落とし込んだトレーニングを全コミュニケーターに対して行っています。
今後、更にそんなコミュニケーション技術に磨きをかけていきたい。そんな風に考えています。