悩み相談を受けたら2つに分けろ
2013.12.11
今日は傾聴に関するお話です。
先日のことです。
社外の女の子からこんなことを言われました。
「実は最近恋に落ちて、仕事が全然手につかないんですー。どうしたらいいんでしょう」
ひと通りどんな人なのかなどを聞いた後私が答えたのが、
「それは恋ではなくて劣情だよ。そう思えば仕事もできるよ」
というものでした(劣情の意味はこちら)。
効果てきめんで、これを言われると今までの高揚感や純粋だと思っていた恋心が、一気に下品で迷惑な感情に思えてしまうから不思議です。
そう思うとその気持自体が不快になり、思い返す時間も減って仕事に集中できるようになったと。
そう、「仕事が手につかなくて困っている。どうすればいいのか?」という問いに、100点の回答を返すことができました。
しかしこれはあるべきコミュニケーションとして採点すると、0点です。
なぜなら相談者は、「どうしたらいいんでしょう」とは言っているものの、本当はどうしたらいいかなんて全く興味がないからなのです。
弊社はお話で付加価値を提供するコミュニケーションサービス会社ですので、弊社スタッフに対してコミュニケーションに関する独自トレーニングを行います。その中で最重視されるのが、いわゆる「聞き方」、傾聴と言われるスキルです。
傾聴においては、正しい答えや結論を導くのが目的ではなく、相手の気持ちに寄り添い、相手が話したいことを話してもらって気持ちを楽にしてもらうことが目的です。
今回のケースで言えば、女の子は仕事をどうにかしたいと思っているのではなくて、自分の気持ちを誰かと共有したい、その恋心に共感してほしい、というのが相談の目的でした。まさに傾聴をすべき内容だったのです。
人の話を聞く時、特に相談を受けるときには、2種類のゴールがあることを覚えておくとよいでしょう。
① 本当にどうしたらいいか悩んでおり、具体的な解決策を求めたり結論を出したいと思っているケース
② ただ自分の話を聞いて欲しい、共感したり認めてほしい、愚痴を言いたいと思っているケース
①の時は、アイディアを自分も出す、自分の意見を言う、論点を整理する、といった協力の仕方。②の時は、きちんと頷いて心情に共感を示す、相手の言うことを受け止めて賛意を示すといったことを求められます。これが傾聴スキルと言われるものです。
例にもあるように「どうしたらいいのか」と言われてもそれが①ではないこともあるので、どちらかを早いタイミングで見極めて聞き方を変えることが重要です。
そんなことを考えていたら丁度こんな記事がありました。
男と女が楽しく会話するコツがもの凄く納得できると話題
男と女が楽しく会話するコツがなるほどすぎて(カツ婚!より)
これは話し手に注意を促しています。 「悩みは「意見をもらいたいけど」愚痴は「聴いて欲しいだけ」」。なるほど、と思います。
こんな風に整理して話をできる人はそうそういないので、聞き手がこれを想像して補えると、非常に満足できる会話になるでしょう。
実際は仕事の相談でもない限りは②のケースの方が圧倒的に多い。
従って、まずは意見を言わないようにして本当に求められた時に相手の反応を見ながら小出しに自分の意見を言うのが、信頼感を得る最も簡単な方法です。
それにしても改めて、恋心に対して「劣情だよ」は傾聴として最低の答え方ですね。なんの共感もしていない。プロとして反省しきりです。