若者の孤独
2014.07.31
以前、孤独についてブログを書きました。
その日々は決して楽しいものではありませんでしたが、そこで日々考えていたことや、辛かった思いは、
今の自分の精神的タフさ(これは私が他人に誇れる数少ない長所です)につながっていると感じることでもあります。
この内容はコミュニケーターの養成講座や、外部での講演でもお話しさせていただいてますが、
大変驚き、感心してくださる方が多くいらっしゃいます。
特に、刺さる人にはものすごく深く刺さるようです。
孤独というものは誰しも経験するのに、それについて学問としての研究が少なく、
科学的に考える機会がほとんどないのだな、と改めて気づきました。
今回は特に「若者と孤独」について書きたいと思います。
孤独が健康に害を及ぼすという話を以前書きました。
―
孤独による死のリスクは、肥満の2倍以上。統計的に明らかに人間の健康を損ねるものという研究結果があります。
気持ちの上で辛いだけでなく、実際に命を削るのです。
―
詳細は過去のブログをご参考にいただければと思いますが、
孤独自体からくる身体的な影響、具体的には以下の事柄が死に直結する病気や事故率の上昇を招いているのです。
― 緊急事態としてサイレンが鳴り続けることによる悪影響が自己管理能力の低下を促す
― 自己の甘やかしに直結する
― 細胞の酷使につながる
実は省略したことがあって、統計的に孤独な人は死亡リスクが高いのは事実なのですが、
それが有意になるのは、40代以降なのです。
つまり30代までは、孤独であったとしても死亡リスクに影響はありません。
本人のつらさを除けば、孤独でも構わないよということでもあります。
孤独感とは、こころの痛みです
年をとってからの無理な運動は体に悪いが、若いうちは多少無理をして体を痛めても回復するのと同じことが、こころにも言えるのでしょう。
ある意味では、孤独感は心の筋トレといえるのかもしれません。
人間が一人で生まれて一人で死んでいくそのこと自体に真正面から向き合い、どんな状況でも気持ちを強く持つ。
若いうちに孤独感を覚えることは実はそんな意味があるのかもしれないと思っています。
「孤高」という考え方があります。
一人で誰と接しなくても、自律的に生き、自己認識を高く保つ生き方、と私は定義しています。
仙人のような暮らし方ですね。こうした生活ができるようになった方は、ある意味で無敵です。
人生においてどんな状況を迎えても強く生きていくことができるでしょう。
そんな生き方を手に入れるためには、若いうちに孤独に浸かり、そこから耐える力を得ることが必須なのではないか、とも思います。
私自身の孤独の話をします。
高校時代に親元をはなれて進学校に入学したのですが、そこで挫折し、
今でいうひきこもりのような状況になりました。
高校時代に親元をはなれて進学校に入学したのですが、そこで挫折し、
今でいうひきこもりのような状況になりました。
ひたすら本を読み、1人悶々としていました。
長い時間、一人で過ごし、そしてふとしたきっかけで演劇というものに出会い、外の世界に出ていくようになりました。
その日々は決して楽しいものではありませんでしたが、そこで日々考えていたことや、辛かった思いは、
今の自分の精神的タフさ(これは私が他人に誇れる数少ない長所です)につながっていると感じることでもあります。
私は若者誰にでも孤独になれというつもりはありません。
実際に孤独のループにはまり、不規則な生活→自信喪失の悪循環にはまってしまうと、引きこもりから立ち直るのは容易ではないだろうと思います。
実際に孤独のループにはまり、不規則な生活→自信喪失の悪循環にはまってしまうと、引きこもりから立ち直るのは容易ではないだろうと思います。
ただ、今孤独感を感じている若い人が、これは無駄ではないのだ、筋トレなのだと思うことで、少しでも前向きに孤独と向き合うことができればと思い、書きました。
ここから余談です。
若者の孤独というと、ネットやLINEによって孤独が深まっているという言説があります。
私はその言説がそのまま当てはまるとは思いませんが、正しい部分はあるのではと思うこともあります。
SNSでの「いいね!」ボタンや、掲示板での殺伐としてやり取りは、
栄養のないスナック菓子のようなものではないか。
栄養のないスナック菓子のようなものではないか。
つまり孤独感が癒される気がするが、実際にはお腹は膨れない。
すなわち真の承認欲求の満足にはつながらない。
ただ、表面上、瞬間的には人と接した気分になれる。
そのため、ひたすら「いいね!」を得続けたくなり、半分中毒のようになってしまう。
「ネット断食」なる、ネット環境を断つことが流行っているというのを見たことがありますが、言いえて妙だと感じました。
孤独、それ自体は必ずしも悪いものではない、そう思いつつも、悪い面も認識しておく。
そうした態度はあらゆる年代の人間にとって必要なのかもしれません。
最後に孤独を求める若い方へ。
本当につらいときにはどこか頼る場所を設けておかないと、帰ってこれないかも。
それだけは気を付けて、静かで冷たい、甘い孤独感の世界へ行ってみてはいかがでしょうか。