公務員はなぜ認知症になりやすいのか
2013.10.15
今回は本のご紹介です。過激なタイトルですが、「公務員はなぜ認知症になりやすいのか ボケやすい脳、ボケにくい脳」です。
弊社の「認知症早期発見スケール」を監修いただいている、医療法人ブレイングループの長谷川嘉哉先生のご著作です。
認知症早期発見スケールにおいても、感情のうごきを評価指標にさせていただくなどしており、
この本でご紹介いただいている考え方が背景にあります。
公式の紹介は以下となっております。
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生活、仕事がマンネリだと
アルツハイマーになる!
65歳以上の7人に1人といわれ、急増中の認知症。
うち約7割を占めるアルツハイマー型では、
記憶を司る脳の「海馬」が衰えていることは知られているが、
最近では、感情を司る「扁桃核」の衰えも、
発症に大きく関わることが分かってきた。
ボケる・ボケないの分かれ道は、
40代以降、扁桃核によい刺激を与えてきたかどうか。
特に危ないのは、マンネリで変化を好まない、公務員のような職業だ。
扁桃核によい働き方、生活習慣、人間関係とは?
日本でも有数の認知症専門医が教える画期的予防法。
[ボケるかもしれない12カ条]
□家族に認知症になった人がいる
□生活習慣病がある(高血圧、糖尿病、高脂血症など)
□運動不足である(めやすは30分程度の運動を週3回)
□太りすぎ、やせすぎ(BMIが18.5以下もしくは30以上)
□夫・妻がいない
□仕事に定年がある
□自分の預貯金と、入っている保険の内容を把握していない
□炊事・洗濯・掃除ができない、しない
□一人でできる趣味を二つ以上もっていない
□12歳年上と12歳年下の友人がいない
□1カ月に2冊以上の読書、1本以上の映画鑑賞をしていない
□栄養のバランスを気にしながら食事していない
*6項目以上あてはまる人は要注意!
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認知症に対して、科学的、実証的な解説を加えながら、前向きに予防していくための具体的な方法が書かれています。
認知症になった場合の暮らしの状況や対策の具体例もあり、非常に参考になることが多いです。
ご家族やご自身について漠然と認知症になったらどうしようといった思いを持たれている方に是非読んでいただきたい本です。
認知症関連の本だと、医学的アプローチを延々と解説したりしていて、正しいのだろうけどもわかりにくかったり、
かと思えばセンセーショナルなせん妄や徘徊を取り上げていたずらに恐怖心を煽るような本もあります。
この本はどちらでもなく、臨床医~グループホーム運営~フィナンシャルプランナーまで幅広く認知症のご本人とご家族を支えている長谷川先生の目線で書かれているため、
医学的にもしっかり分析されながら、現場での具体的な行動や実効性も検証されていて、わかりやすく、しかも説得力があります。
こういった本がもっと世の中に出ていき、認知症に対する正しい知識が広まることを期待します。
一方で、この本が必要とされる現在の日本の状況は、好ましくないと私は感じています。
最大の問題は、認知症が必要以上にタブー視され、恐ろしいもの、なるべく考えたくないものとして、
正視しようとしない傾向が見受けられることです。
この本にあるように、過剰に深刻に受け止めることなく、ただし軽んじるのではなく積極的に予防したり対応していくことが重要です。
あくまで「病気」であり、生活習慣病と同じように考える。
ガンを防ぐために食生活改善やダイエットをするように、認知症を防ぐために運動や脳への刺激となるような活動をする。
そんなことが一般的になる世の中に、早くなってほしいと思います。