認知症のご家族を持つ方向け損害賠償保険 更改版
2016.05.10
もう2年も前になりますが、
「認知症の徘徊で鉄道事故 91歳の妻に約360万円の賠償命令 名古屋高裁」
のニュースに対し、認知症の患者に対する監督責任を同居する家族に求めることがあるべき姿なのかについて考察しました。
そして、ご本人かご家族が損害賠償保険に入ることと、その際に「責任無能力者が事故により他人に損害を与えたことにより、
親権者等が負担した損害賠償責任について補償の対象にしている保険を選ぶこと」の必要性について述べさせていただきました。
おかげさまで多くの方からの反響をいただきました。
その後、こちらの裁判については最終的な結論が出て、ご家族による損害賠償の義務はなし、となったようです。
認知症列車事故、3月1日の最高裁で家族側逆転勝訴(認知症ねっと)
ご家族にとっては一安心というところだと思います。
ただし今回の判決で気を付けるべき点は、どういう状況の家族関係でも、認知症の方が起こした損害に対する賠償責任は無くなるわけではないことです。
たまたま今回のケースは、家族が管理監督するのは難しいと判断された、と認識する必要があります。
つまり、今後も認知症の方が第三者に被害を与えた場合、ご家族がその賠償責任を負うことがありうるということです。
ですので、前回ブログで書いたように、ご家族が損害賠償責任保険に加入することは、引き続き意味があるといえます。
最近はこの報道の影響からか、関心が高まっているようで、各保険会社も損害賠償保険を充実させたり、対応範囲を明確に謳うなどするようになってきました。
不安な方はそうしたものから検討されると良いのではないでしょうか。
まずは、加入済みの保険の範囲でカバーされているケースや特約が可能なケースがありますので、
既存の保険の内容をご確認されることが第一歩。
そのうえでカバーされていないとなったら、新規の保険を検討されるのが良いのではないかと思います。
【日経マネー】認知症の親の損害賠償 個人賠償責任保険が役に立つ
また、損害賠償責任からは離れますが、認知症に特化した保険も発売されるなど、
「認知症x保険」は、今後熱い領域となりそうです。
※参考例:【あさひ生命】あんしん介護
認知症に関しては、支える側の私生活にとって、大変な苦労が多いのが実態ですが、
日々、新しい商品やサービスが開発されているので、
介護中のご家族は定期的に新サービスをチェックしてみるのもよいかもしれません。
支える側の負担が減ることで、支えられる側の生活もよくなることを願っています。